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大阪地方裁判所 平成2年(わ)560号 判決 1990年9月17日

本店所在地

大阪府守口市藤田町六丁目六七番地

株式会社寺田組

(右代表者代表取締役) 寺田昌生

本籍

高知県宿毛市沖の島町母島一三六九番地

住居

大阪府守口市藤田町六丁目六七番地

会社役員

寺田昌生

昭和二年一月二七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官梶山雅信出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社寺田組を罰金四〇〇〇万円に、被告人寺田昌生を懲役一年四月に処する。

被告人寺田昌生に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社寺田組(以下、被告会社という。)は、大阪府守口市藤田町六丁目六七番地に本店を置き、土木建設の請負業務等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人寺田昌生(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  架空労務費及び架空外注費を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六〇年三月一日から昭和六一年二月二八日までの事業年度における実際所得金額が六四八六万一六三三円あつた(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年四月三〇日、大阪府門真市殿島町八番一二号所在の所轄門真税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七二六万四三二三円で、これに対する法人税額が六〇六万七五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二六六七万七〇〇〇円と右申告税額との差額二〇六〇万九五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年三月一日から昭和六二年二月二八日までの事業年度における実際所得金額が二億四二一九万五八九五円あつた(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年四月三〇日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六八三万七九六八円で、これに対する法人税額が五七二万六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億三三〇万六〇〇円と右申告税額との差額九七五八万円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六二年三月一日から昭和六三年二月二九日までの事業年度における実際所得金額が九〇七〇万三七六四円あつた(別紙(三)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年四月三〇日、前記門真税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二三九万三三五七円で、これに対する法人税額が三七一万六〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三六六〇万六二〇〇円と右申告税額との差額三二八九万二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字(押収番号を除く。)は、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書一六通

一  森理祐こと森繁一、寺田留美子及び山本次男の検察官に対する各供述調書

一  樋田虎一、森理祐(二通)、三津橋和長、庄司正之、寺田誉(二通)、寺田留美子(五通)、田村清美(二通)、山本次男、寺田新一、冨田治、寺田知子、冨田陽子、上田亀代子、濱浦美保子、有水清美、千代廷博毅及び杉本恵子に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の平成元年五月二五日付(三通)、同月二九日付、同月三一日付(三通)、同年六月一日付(19)、同月三〇日付(14)、同年七月一日付、同月四日付及び同月一二日付(23)各査察官調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  大阪法務局守口出張所登記官作成の登記簿謄本及び閉鎖登記簿謄本(二通)

一  押収してあるノート三冊(平成二年押第三六九号の1ないし3)

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の平成元年七月五日付及び同月一二日付(24)各査察官調査書

一  門真税務署長作成の証明書(5)

判示第二、第三の事実につき

一  収税官吏作成の平成元年六月一日付査察官調査書(18)

判示第二の事実につき

一  門真税務署長作成の証明書(7)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の平成元年六月三〇日付査察官調査書(25)

一  門真税務署長作成の証明書(8)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年四月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

さらに、被告人の判示所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金四〇〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和60年3月1日

至 昭和61年2月28日

(株式会社寺田組)

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和61年3月1日

至 昭和62年2月28日

(株式会社寺田組)

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和62年3月1日

至 昭和63年2月29日

(株式会社寺田組)

<省略>

<省略>

別紙(四)

税額計算書

株式会社寺田組

<省略>

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